Howe Sound Crest Trail (HSCT) を1日で駆け抜ける。バンクーバーからポートコーブへの27km、1Day トレラン・レポート

バンクーバー近郊で最も美しく、そして最もタフなロングトレイルの一つ「Howe Sound Crest Trail(ハウサウンドクレストトレイル / 通称HSCT)」。サイプレス・マウンテンからポートコーブへと続く約27kmのルートは、一般的には1泊2日のバックパッキングで歩かれることが多いですが、今回はトレイルランニングのチャレンジとして1日で走破してきました。
新緑の美しい森、荒々しい岩場の稜線、そして眼下に広がるハウサウンドの絶景。6月17日のリアルなトレイルコンディションや、ルートの注意点、給水ポイントなどをタイムライン形式で詳しくレポートします。
9:00 AM | スコーミッシュを出発、車2台でのロジスティクス
スナックとランチを準備して、朝9時にスコーミッシュを出発。
今回のルートはワンウェイ(片道)のため、車のデポが必要です。まずはトレイルの出口である「ポートコーブ(Porteau Cove)」に車を1台デポし、もう1台の車でスタート地点であるサイプレスのスキー場へと向かいました。
10:10 AM | サイプレスに到着、駐車場での注意点
サイプレスに到着。駐車場はスキー場入り口、黄色いゲートの手前にある「Lot 3」を利用しました。
⚠️ 注意ポイント
Lot2手前の黄色いゲートは20時に閉まってしまうというサインがあったため、夜遅くに戻ってくることを見越してゲートの外側に駐車しました。ワンデーで挑む場合は駐車位置に注意が必要です。
スキー場の施設は夏のハイキング用にオープンしているため、トイレや水道が使用可能です。ここでしっかり水を汲み、トイレを済ませてスタートの準備を整えます。






10:30 AM | サイプレス・スキー場からトレイルスタート
スキー場のレストハウスから歩き始めると、まもなくHSCTのサインが現れます。いよいよ全行程27kmの旅がスタートです。
10:45 AM | 綺麗な森と最初の分岐

スキー場内のトレイルは分岐が多く、少し迷いやすいので注意が必要です。
歩き始めて約20分ほどで、ハウサウンドクレストトレイルへの本格的な分岐に到着します。ここで選ぶのは「St. Marks Summit」および「Highway 99 at Porteau Cove」と書かれたサインです。
ここからSt. Marks Summitまでは、巨木に囲まれたBC州(ブリティッシュコロンビア州)ならではの美しい森を歩く、非常に気持ちの良いトレイルが続きます。





11:45 AM | 標高1,371m:セイント・マークス・サミット(St. Marks Summit)
歩くこと約1時間、標高1,371メートルの「St. Marks Summit」に到着しました。スキー場からアクセスしやすいこともあり、ここはデイハイクで訪れる多くの人で賑わっています。
崖の上からハウサウンドの海を見下ろす絶景ポイント。僕たちはおにぎりとスナックを食べて10分ほど休憩を挟みました。スタートから5km、まだまだ続く長い道のりを楽しみに再スタートします。

12:55 PM | アンネセサリー・マウンテンへの稜線へ
St. Marks Summitから歩くこと45分、「Unnecessary Mountain(アンネセサリー・マウンテン)」に向かう稜線へとたどり着きました。
「無駄な山 / 不必要な山」というなんとも不思議な名前の由来は、バンクーバーのアイコンである「The Lions(ザ・ライオンズ)」へと向かうトレイルの手前で、一度標高が上がり、また一気に下がるポイントだから。バンクーバー側からザ・ライオンズを目指すハイカーにとって「無駄な(邪魔な)ピーク」としてその名がついたそうです。有名な岩頭に行く手前にあるせいで、こんな悲しい名前がついてしまった山ですが、ここからの景色は本当に最高です。

1:31 PM | 標高1,548m:アンネセサリー・マウンテンに登頂
12:50頃にこの山へと繋がる稜線に乗り、手前のサウスピークを超え、メインのピーク(標高1,548m)に着いたのが13:30。稜線を歩いている間は、常に左手にハウサウンドの海を眺めることができる、非常に美しいトレイルでした。
ここからザ・ライオンズ(The Lions)に向かうトレイルは、標高が一気に100mも落ちる急斜面からの上り坂。一部では手をしっかりと使わないと下りられないほどの岩の急斜面があり、「アンネセサリー(不必要)」という名前がついてしまったのも少し納得がいきます(笑)。






ピークにはHSCTのトレイルサインがあります。
「サイプレススキー場から7.7km、ポートコーブまでは18.5km」。距離としてはまだ半分も進んでいませんが、標高差に関してはここの時点で悠に半分を超えています。常にサブアルパイン(亜高山帯)とアルパインエリア(高山帯)を繋ぐこのトレイル。前半の登りを終えれば、細かいアップダウンはあるものの、後半にきつい登りは少なくなります。

2:30 PM | ザ・ウェスト・ライオンズ(The West Lions)をトラバース

アンネセサリー・マウンテンからの急な下りを終え、「The West Lions(ザ・ウェスト・ライオンズ)」の足元へとやってきました。
時間に余裕があれば、この岩頭を登頂してもよかったのですが、今回はワンデーランであまり余裕がないため通過します。
HSCTのルートは、ザ・ウェスト・ライオンズの寸前で右に曲がり、少しルース(脆い)な砂利と岩があるトレイルを下ります。そして岩頭の南面下部をトラバース(横断)して、イーストライオンズへと向かう稜線へと乗ります。


3:12 PM | トーマス・ピーク(Thomas Peak)でランチ休憩
イーストライオンズの北側にある「エンチャントメント・レイク(Enchantment Lake)」を眼下に見下ろし、「Thomas Peak(トーマス・ピーク)」の上でランチ休憩にしました。

このライオンズ周辺が、全工程の中で最も標高が高いセクションです。ここからいくつかのアップダウンを繰り返し、最後の長い下りへと続いていきます。
4:00 PM | 標高1,466m:ジェームズ・ピーク(James Peak)とルートの注意点

標高1,466メートルの「James Peak(ジェームズ・ピーク)」に到着。ここからトレイルは東に下り、次のピークへと向かいます。
⚠️ 【重要】ジェームズ・ピークからの下山ルートの注意点
このジェームズ・ピークからの下りルートは少し分かりにくく、僕たちはルートを間違えて山の頂上から北へと続くトレイルを歩いてしまいました。進むと細い沢に当たり、その先は崖のような地形で終わっています。
沢の中にはクライミング用のアンカーが設置されていたため、おそらく下から上がってくるクライミングルートの出口として使われているトレイルだと思われます。一般のハイキングで下山する際は、絶対にこちらに入らないように注意してください。
正規ルートは、頂上から東に向き、少し南へ戻るようにライオンズを正面に見ながら歩きます。 その後、トレイルは大きく右に曲がり、再び北へと進むようになっています。


5:00 PM | デヴィッド・ピーク(David Peak)からハーヴェイの分岐へ
「David Peak(デヴィッド・ピーク)」に到着。標高1,480メートルのピークへ上がる道はなかなかの急登ですが、頂上に着いた時の景色は最高です。

ここから北北東へと続くトレイルを進み、標高を100mほど下げます。そこから「Mount Harvey(マウント・ハーヴェイ)」へと向かうトレイルへと入り、100mほどのアップヒル(登り)を終えると、標高1,450mの分岐点に到着。左へ行くとマウント・ハーヴェイへ、右へ行くとHSCTの続きです。ここからは急登のない、気持ちの良い森のトレイルが広がります。
6:00 PM | マグネシア・メドウ(Magnesia Meadows)での給水
デヴィッド・ピークを出発して約1時間、このトレイルで最初の給水ポイントである「Magnesia Meadows(マグネシア・メドウ)」に到着しました。
給水といっても小川が流れているだけなので、ろ過フィルター付きの水筒(浄水器)が必要です。僕はトレラン用のフラスクの1つをフィルター付きの飲み口に変えて、小川から水を補給しました。
そのまま飲めるのではないかと思うほど澄んだ綺麗な水ですが、雪解け水なので、野生動物などのリスクを考慮し、必ずフィルターを通すようにしましょう。

6:30 PM | ブランズウィック・マウンテン分岐点
マグネシア・メドウから約2km、「Brunswick Mountain(ブランズウィック・マウンテン)」トレイルとの分岐点に到着。ここがHSCT後半の最高標高ポイント(約1,500m)となります。
ここから先の10kmは基本的にずっと下り基調となり、体力的にもようやく心が落ち着くセクションです。
これまでずっと左手に見えていたハウサウンドの海ともここでお別れ。トレイルは「Brunswick Lake(ブランズウィック・レイク)」へと向かい、約400mの標高差を一気に下っていきます。もしさらに水が必要な場合は、この先にあるレイクでも水を汲むことができます。もちろん、ここでもフィルターを忘れずに。
7:00 PM | ブランズウィック・レイク(Brunswick Lake)渡渉の注意点
「Brunswick Lake(ブランズウィック・レイク)」に到着しました。周囲の山からの雪解け水が流れ込む、エメラルドブルーの本当に美しい湖です。もっと早い時間に到着していれば、飛び込んで泳ぎたかったほどです。

💡 渡渉(としょう)のアドバイス
トレイルはこのブランズウィック・レイクの浅瀬を通っているため、時期によっては水の中を歩いて渡る(渡渉する)必要があります。僕たちが通った時は、水深が約50〜60cmほどでちょうど膝のあたりまでありました。
真夏や秋の減水期にどうなるかは分かりませんが、足を濡らしたくない場合や渡った後に拭くために、手ぬぐいや小さなタオルをすぐに取り出せる場所に準備しておくと重宝します。


8:00 PM | ハノーバー・レイク(Hanover Lake)とデジャ・レイク(Deeks Lake)
ブランズウィック・レイクから約3km、「Hanover Lake(ハノーバー・レイク)」と「Deeks Lake(ディクス・レイク)」を越えると、いよいよ本格的な急斜面の下りトレイルが始まります。
ディクス・レイクを過ぎると、この先にはもう給水ポイントはありません。水分が残り少ない方は、必ずここで最後の水を補給しておきましょう。

9:30 PM | ラストスパート、そしてポートコーブへゴール!
さあ、いよいよラストスパートです。ディクス・レイクからハイウェイ99(Highway 99)に出る最終セクションは、距離にして約6km、標高差は下り980m。ここまで長い距離を走ってきた足に、最後の追い込みをかけるような激しい下り坂が続きます。
僕たちはほとんど立ち止まることなく、薄暗くなってきたトレイルを必死に駆け下りました。「早く帰りたい!」という強い意志のもと((笑))、それぞれが自分のペースで黙々とゴールを目指します。
そして、激走すること約1時間半。夜21時30分、ついに車をデポしておいた出口の「ポートコーブ・トレイルヘッド」に到着しました!

HSCTを振り返って
今回はトレランのチャレンジとして、1日(約11時間)でこの Howe Sound Crest Trail を駆け抜けましたが、一般的には1泊2日でキャンプをしながらゆっくりと歩かれるルートです。
実際に1日で走ってみて、そのタフさに圧倒されつつも、刻一刻と変わる山の表情や美しい湖の景色に終始魅了されっぱなしでした。次回はあえて走らずに、重いカメラとキャンプギアをバックパックに詰め込んで、夕日や星空を眺めながら1泊2日でトレイルの時間を贅沢に味わうのもいいな、と強く思わせてくれる素晴らしいルートです。
バンクーバー近郊に住んでいるアウトドア好きの方、あるいはカナダ西海岸を訪れる予定のある方は、ぜひしっかりと準備を整えた上で、この壮大なHSCTトレイルに挑戦してみてください。

もう少し短めのトレイルを楽しみたい方は、スコーミッシュとウィスラーの間にあるガリバルディレイクトレイルがオススメです。こちらのブログをチェック👇👇👇
