6月末を迎え、学生たちの夏休みが始まると、いよいよカナダ西海岸のSea to Skyエリアも夏本番の空気感に包まれます。

しかし、アウトドアの聖地であるスコーミッシュ(Squamish)において、6月という時期は天気の大きな転換期にあたる、非常に絶妙なタイミングでもあります。

実際のところ、春先の4月や5月はまだまだ低気圧の影響を受けやすく、天気が周期的に崩れて不安定な日が続きます。そして、そこから7〜8月に訪れる「完全に乾燥した真夏の乾季」へと突入していくわけですが、その本格的な乾季を迎える前の、最後の不安定な月がこの6月なのです。毎年、夏本番を前にした最後の悪あがきのように、まとまった雨が降ったり気圧が激しく乱れたりすることが多いのがこの時期の特徴です。

スコーミッシュの森

今年の6月を振り返ると、前半はほとんど雨が降らずに最高の滑り出しを見せました。しかし、月末にかけて数日間の雨天が訪れ、山や岩場に恵みの湿気をもたらしたかと思えば、その直後には急激に気温が上昇。一時は最高気温が34度まで跳ね上がるなど、極端な気候変化を見せています。6月前半の最高気温が18度前後で涼しかったことを考えると、現在の猛暑はにわかには信じられないほどの激しさです。

つい先日、日本からスコーミッシュへクライミングトリップに来ている馴染みのクライマーたちから連絡がありました。「スコーミッシュ側の天気予報があまり良くない(雨マークが並んでいる)ので、BC州内陸にあるスカハ(Skaha Bluffs)へ遠征しようと思っているのですがどうですか?」という相談でした。

確かに、内陸のペンティクトン近郊に位置するスカハは砂漠気候に近い特徴を持っており、年間を通じて非常に乾燥しています。沿岸部で雨が降っていてもスカハに行けば1日中カラッと晴れていることは珍しくなく、雨の日のエスケープ先としては定番のエリアです。

しかし、ここで一つ重要なポイントがあります。スカハは素晴らしい岩場ですが、その大半は「スポーツクライミング」のエリアです。もしスコーミッシュの代名詞である花崗岩のクラックを登り、トラッドクライミングに来ている遠征クライマーの場合、スカハへの移動は移動時間やコストの面も含めて、必ずしもベストな選択とは言えない可能性があります。

では、不安定な予報の中でスコーミッシュに残り、岩場を最大限楽しむためにはどうすればいいのか。その鍵は、「スマートフォンに標準で入っている大雑把な天気予報を信じないこと」にあります。

ラグーントレイル

現地で毎日のように岩場やトレイルに足を運ぶ人間にとって、iPhoneなどの標準天気予報アプリの「雨マーク」はあまりアテになりません。

なぜなら、標準のアプリアイコンに出る天気マークは、その日の「もっとも天気が崩れる時間帯」を代表して表示していることが多いからです。例えば、24時間のうち朝方のわずか30分だけ小雨がパラつくだけでも、画面には一日中どんよりとした「雨マーク」が表示されてしまいます。これを見た旅行者やクライマーは「あぁ、今日は一日中雨で登れないんだな」と諦めてしまいがちですが、実際には日中のほとんどが乾いたクライミング日和であることも少なくありません。

そこで僕がいつも見ている天気予報のサイトをいくつかチェックした。iPhoneの天気予報アプリも見るが、正直これはあまり当たらない。僕が1番愛用しているのはウィンディーというアプリとスポットWXと言うウェブサイト。スポットWXはカナダとアメリカで出されているいくつかの気象モデルを比べてみることができるサイト。サイトの地図上で自分の場所を選択し、そこに出てきた予報から好きなものを選んでチェックする。僕がいつも見るのは3.5日間予報と、10日間予報の2つ。ここでは1日のどの時間帯にどれぐらいの雨量があるかが見れる。

SpotWX
スポットWX: 上部赤ラインの気温と、赤丸部分の降水量を要チェック。

結論:予報をハックし、最後は自分の目で判断する

様々なハイテクツールが存在しますが、私の長年の現地生活で行き着いた結論は、「どんなに優れた天気予報であっても、信用できるのはせいぜい3日後まで」ということです。4日目以降の予報は変わることが日常茶飯事なので、私はいつも「きっとこれから予報が良い方向に変わるだろう」とポジティブに捉えて計画を立てるようにしています(笑)。

最終的に一番確実なのは、ツールで複数の気象モデルを確認しつつ、早朝にパッと窓の外の空を見つめ、自分の肌が感じる空気の湿り気や風の向きを確かめることです。ハイテクなデータと、アナログな野生の勘の組み合わせこそが、自然を相手にするアウトドアスポーツにおける最高のコンディションガイドになります。

ぜひ皆さんも、今回紹介したツールと実際の空模様を見比べながら、スマートに明日のクライミングやハイキングの計画を立ててみてください。

マムカムリバーダイク

それではみんなも天気予報と空を見つめながら、明日のクライミング予定を考えてみて欲しい。雨の日もしくはレスト日に何かすることを探している人はこちらの散歩道紹介の投稿も見てください。
>>朝の絶景散歩道<<