conner herson on drifters escape in squamish

カナダ・BC州のスコーミッシュ(Squamish)は、世界中のクライマーが憧れる聖地。そこには、世界最高峰のトラッド・テストピースから、ハイエンドなスポーツルートまで、歴史に名を残す名ルートが数多く存在します。

今回は、僕が撮影してきた写真とともにスコーミッシュが誇る5.13以上の10ルートを紹介します。グレード的にもそうそう簡単に手を出せるものではないかもだけど、「こんなルートがあるのか!」と思いながら読んでください。紹介するルートのいくつかはまだ初登されたばかりで、ガイドブックにも載っていません。世界のトップクライマーが写る写真と共にお楽しみください。

1. North Star (5.13b / 8a)

中村拓哉 North star Squamish BC
Climber: Takuya Nakamura
  • タイプ: トラッド
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / The North Walls
  • FA: Jeremy Blumel, Evan Stevens, 2009

ルート解説

ノースウォールズを代表するハイエンドなトラッドライン。チーフのセカントピーク付近にあるこのルート、アプローチでチーフのトレイルを歩くのは少し大変だけど、人混みから離れてクライミングに集中できるいい場所です。ラペルダウンしてから始まることルートは、傾斜の強い細いクラック、最後はパワフルなボルダームーブでトップアウト。


2. Little Wing (5.13c / 5.13a)

Sonnie Torotter on Little wing in Squamish BC
Climber: Sonnie Trotter
  • タイプ: スポーツ / マルチピッチ(完全ボルトオン)
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / Prow Wall
  • FA: Sonnie Torotter, 2025

ルート解説

羽(ウィング)の形をした巨大な花崗岩の背後に隠された、大きく湾曲するアンダークリングクラックを辿る、非常にユニークで視覚的にも美しい2ピッチのスポーツライン。鋭いエッジ、ブランクフェイス、見通しの悪いコーナーを150フィート(約45m)以上にわたってトラバースするため、リード・フォロー双方の危険な振られ(スイング)を防ぐ目的で完全にボルトが配置されています。若き頃のソニーならトラッドギアで登っていたかもしれないけど、危険で誰もリピートしないルートを作るよりも誰もがトライして楽しめるルートづくりを選んだ彼。たくさんの人で賑わうButt Faceを見ながらこのルートにワークするのも良いかもしれませんね。

  • 1ピッチ目 (5.13c): テクニカルなエントリーから印象的なコーナーへ。滑りやすいスメアを使ったパワフルなアンダークリングを経て、ワイルドなダイク上のボルダームーブ、パンピーなルーフのトラバースで終了。
  • 2ピッチ目 (5.13a): 立体的な垂直な登りから始まり、後半は終了点へ向けて長いトラバース。パンピーなピッチでルート後半までレストポイントはほとんど無い。

歴史

2025年夏、ソニー・トロッターがチーフを20年間探索した末のProw Wallの最後のプロジェクトとして初登(FA)した。


3. Eurasian Eyes (5.13b / 8a)

Amity Warm on Eurasian eye in squamish bc
Climber: Amity
  • タイプ: スポーツ
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / Bulletheads North
  • FA: Jim Sandford, 1989

ルート解説

チーフにおける最も印象等で美しい5.13スポーツラインの一つ。Bulletheadsの最左端にある、非常に見栄えのするクリーンで緩やかに前傾した垂直のアレートを辿ります。

フェイスのカチとアレートをうまく使いながら登るラインは高度感抜群、見ていても手に汗をかくこと間違いなし。

歴史

1989年にジム・サンドフォード(Jim Sandford)によって開拓(当初は一段高いレッジからのスタート)。その後、2011年にトレバー・ウッド(Trevor Wood)とルーク・ノイフェルド(Luke Neufeld)によってダイレクトスタートが追加された。


4. The Power of Yesterday (5.13c / 8a+)

climbing route power of yesterday in squamish bc
Climber: Oliver
  • タイプ: トラッド / ミックス(4ピッチ)
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / The Prow Wall
  • FA : Sonnie Torotter, 2010

ルート解説

South Gullyの中から始まる4ピッチのルート、後半はProw Wallの上部をトラバースして高度感のあるフィニッシュ。

  • 1ピッチ目 (5.10): The Pillar of Darkness
  • 2ピッチ目 (5.11): 浅めのコーナー、ギアプレイスメントはトリッキー。
  • 3ピッチ目 (5.13b): 黄金色の花崗岩を登るパンピーなスポーツクライミング。ボルダリームーブから左への水平トラバース。
  • 4ピッチ目 (5.13c): 本番のピッチ。後半は大昔に打ち込まれた古いボルト穴をモノポケットとして利用する、パワフルなボルダームーブが核心。

歴史

数十年前に、なんとワーゲンのビートルをチーフの壁に実際にボルトで固定して行った、プロモーション撮影の跡地という面白い歴史的背景があります。その時に開けたボルト穴が最終ピッチの核心部。


5. Permanent Waves (5.13d / 8b)

Hiroto Shimizu on Parmanet wave in squamish bc
Climber: Hiroto Shimizu
  • タイプ: スポーツ
  • ロケーション: Cacodemon Boulder / Grand Wall Forest
  • FA: Jim Sandford, 1993

ルート解説

Dream CatcherのあるCacodemon Boulderの南側にあるルート、傾斜のある約20mの壁に走る綺麗なフィーチャーをたどるライン。


5. Spirit of the West (5.14a / 8b+)

  •  タイプ: スポーツ
  •  ロケーション: Paradise Valley
  • FA: Tom Wright, 2015

ルート解説

カナダ西部における最高峰のハード・スポーツクライミングルートの一つとして広く認められている。30mを超える長いルート、薄く被った壁に続くV6-V7 ほどのムーブにレストポイントも少ない。誰もがスコーミッシュ一番と言うこの壁にはクオリティの高いスポーツルートがいくつもある。


6. Crack of Destiny (5.14b / 8c)

Ben Harnden on Crack of Destiny
Climber: Ben Harnden
  • タイプ: トラッド
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / The North Walls
  • FA: Didier Berthod, 2023

ルート解説

ノースウォールズの高い位置に美しい弧を描く、驚異的でテクニカルなスプリッタークラック。今回の投稿の一番初めに紹介したNorth Starと同じ場所にあり、終了点は同じである。傾斜のきつい壁で技術だけでなく筋力も必要とするルート。スコーミッシュで最も美しいスプリッターと言っても過言ではないクラックとロケーションだ。


7. Cobra Crack (5.14b / 8c)

Ethan salvo on cobra crack in squamish bc
Climber: Ethan Salvo
  • タイプ: トラッド
  • ロケーション: スタワマス・チーフ / Cirque of the Unables
  • FA : Sonnie Trotter, 2006

ルート解説

世界最難関のトラッドピッチの一つとして知られているコブラクラック、花崗岩には珍しい強傾斜のスプリッター。5.12の下部から始まり、誰もが知るモノフィンガーで最も傾斜の強いセクションを登っていく。2006年の初登以降、いまだにこのルートを登るために世界中からクライマーがスコーミッシュを訪れる。

歴史

1981年にPeter CroftとTami Knightがエイド初登をしたライン。そして2006年にカナダ人クライマーのソニー・トロッター(Sonnie Trotter)がフリーでの初登をした。


8. The Shark (5.14b / 8c)

Jernej Kruder on the shark in Squamish BC
Climber: Jernej Kruder
  • タイプ: トラッド
  • ロケーション: スタワマス・チーフ
  • FA: Connor Herson, 2024

ルート解説

立体的な地形で始まるルート、大きなフレークを背にして右上するクラックラインへと入っていく。フィンガーからハンド、、、ムーブの解説はここまでにしよう。クオリティーの高い、楽しめるルートであること間違いなし。

歴史

元々はスコーミッシュのローカルクライマー、ステュー・スミス(Stu Smith)によって2015−2020年の間に発見・開拓された。それをDidier Berthodが初頭に向けトライを始める。2024年、Didierはアメリカの若手クライマーConnor Hersonに興味をもち、彼がスコーミッシュに来た際にこのルートを譲り彼はわずか2セッションで初登した。


9. Dream Catcher (5.14d / 9a)

ドリームキャッチャーを登るHiroto Shimizu スコーミッシュ
Climber: Hiroto Shimizu
  • タイプ: スポーツ
  • ロケーション: Cacodemon Boulder / Ground Wall Forest
  • FA: Chris Sharma, 2005

ルート解説

北米で最も有名とも言えるルートの一つ。説明不要とも言えるこのルート、ルーフのような強傾斜の壁に刻まれたラインで、スローパーから小さなカチなどフィジカルを要求されるクライミング。


10. Drifter’s Escape (Proposed grade of 5.15a / 9a+)

Connor Herson on Drifters escape in squamish bc
Climber: Connor Herson
  • タイプ: トラッド / ハイブリッド
  • ロケーション: スタワマス・チーフ
  • FA: Connor Herson, 2025

ルート解説

チーフ、ユニバーシティウォールの左側にある花崗岩のブランクパネル、そこに刻まれた平行なシーム辿るライン。出だしのV7のボルダーセクションには2本のボルトがあり、スティープな壁に入ると完全なトラッドクライミングへと移行。

ロケーションとルートクオリティ、20年前のコブラクラックに続き世界中のクライマーが目指すことになるのは間違いなしだ。

歴史

Bald Egos A4、これはこのルートの元の名前とグレードだ。2000年にConny AmelunxenとAdam Diamonがエイド初登したルート。そして2024−2025のふた夏をかけてConnor Hersonがフリー化、トラッドのグレードとして世界で初めて5.15aがつけられた。この提案グレード、再登者はいつ現れるだろうか。

まとめ

世界最難関ルートはもちろんだが、初心者にも優しいルートがたくさんあるスコーミッシュ。15年以上この街に住む僕が約束します。クライマーならどんな人が来ても間違いなく楽しめる街です。 ぜひ、次の遠征先候補に入れてください。そして今回紹介したルートを見に行きましょう!スコーミッシュでの生活が気になる人はこのブログポストをチェック→カナダ・スコーミッシュでワーホリ生活ガイド!

こちらは僕が撮影と編集をしたクライミングの動画で、今回紹介したLittle Wingの動画です。ぜひ見てください。