スコーミッシュの森を歩く。落ち葉を踏みしめるたび、色づく木々が私を見つめ返す。

なんて幸せなことだろう。

すぐそばにこんなにも大きな森があるということが。

日々季節の移ろいを肌で感じられるということが。

スコーミッシュに暮らしているという事実が。

そう思った時、ふと私は埼玉での暮らしを思い浮かべた。

そこに、四季を感じさせる物はなかったのだろうか。

いや、確かにあった。

家を出ると、毎日22年間欠かさず通った公園がある。

道路を挟むように、2つの公園があるのだ。

森とは程遠い公園であった。けれど──

秋にはもみじが真っ赤に燃え盛り、

冬には薄く雪の衣を纏い、

春にはソメイヨシノが空を覆い、

夏には深緑が心を奪う。

そこには、確かに四季があった。

日本から遥か離れたスコーミッシュの地で、

実家がなんて素敵な場所だったのだろう。そう、私は初めて気がづいた。

寺井杏雛