こんにちは、てんぺいです。

今回は、スコーミッシュでクライミングをする際のルールやマナーについて、少しお話ししたいと思います。といっても、ルートやギアの話ではなく、滞在中の規則やローカルへのリスペクトについてです。

日本ではあまり知られていないような、スコーミッシュ特有のきまりなどもあり、知らずに来てしまうとローカルに迷惑をかけてしまったり、思わぬトラブルに巻き込まれたりすることもあります。


チーフ・キャンプグラウンドの滞在ルール

多くのクライマーが滞在するのが、チーフのグランドウォール・フォレスト内のキャンプグラウンドです。

現在(2025年時点)では、1泊10ドルで宿泊でき、最大14日間の滞在が許されています。

ここで注意したいのは、この「14日間」はキャンプサイト運営期間4月12日から9月15日の合計滞在日数であるという点です。

例えば、6月から8月にかけてスコーミッシュに滞在する場合、最初の14日間を連続してこのキャンプ場で過ごしたら、その夏にはもう泊まれなくなります。

一度出てまた戻ってきたとしても、レンジャーに見つかれば「退去勧告」を受ける可能性があります。実際に、僕の知り合いでもこの7月中に3人ほどが追い出されています。


見つからなければOK?

中には「1ヶ月くらい滞在してるけどバレてない」という人もいます。

実際、滞在している人の中で、レンジャーに見つからずに長期滞在している人もいます。

ただし、これはあくまで「見つかっていないだけ」で、公式にはNGです。

レンジャーに覚えられやすいのは、例えば:

  • 目立つ行動をしている
  • テントサイトにずっと同じ車が停まっている

などの場合。特にレンタカーなど、車のナンバープレートは記録に残るので、長く滞在しているとすぐにバレてしまう可能性があります。


チーフのキャンプ場、チェックイン情報?

クライマーに人気のチーフ・キャンプグラウンドですが、7月に入ると一気に混雑してきます。100サイト以上を有する大きなキャンプ場ですが、特に週末(金曜・土曜)はすごい人数の人がやってきて、チェックインできないことも普通にあります

僕のおすすめは、平日の午前中かお昼頃にチェックインすること

キャンプ場の利用は早い者勝ちなので、うまくタイミングを狙えば比較的スムーズに入れます。


狙い目は日曜夕方〜木曜日

特におすすめなのは、

日曜の夕方〜木曜日の朝にかけてスコーミッシュに入り、

まだ空いているテントサイトを見つけてチェックインする方法です。もしくはサイトに貼ってある予約カードを見ると誰がいつチェックアウトするかわかります。出て行く人を見つけたら、次に入ってもいいか聞いてみるのもいいですね。

週末は地元バンクーバーやカナダ国内、さらにはアメリカからも多くの観光客がやってきます。中には木曜から滞在して週末を過ごす人たちもいます。

スムーズにキャンプ場に入るためのポイント

  • なるべく平日に行く(特に月〜木)
  • 午前中かお昼頃にチェックイン
  • 週末(金・土)は避ける。
  • チェックアウトする人が多い日曜日も狙い目

チーフの森が一時クローズ

2025年の今年、スコーミッシュにはこれまでにないほど多くのクライマーや観光客が訪れています。

街も森も、これまでにない混雑です。そんな中、僕がカナダに引っ越してきて17年の中で、初めての出来事が起こりました。


それは、チーフ州立公園内でクマが人間の食べ物を覚えてしまい、森を徘徊するようになってしまったことです。

実際に、今年チーフのグランドウォール・フォレストからノースウォールにかけての一帯が、7月第2週のピークシーズンに1週間完全クローズになりました。

チーフのマルチピッチや、スコーミッシュのメインのボルダリングエリアがすべて登れなくなったのです。

原因は、キャンプ場やボルダリングエリアでの食べ物の管理不足です。

  • 食料をテント内に置いたままにしていた
  • 食品ストレージボックスに入れなかった
  • 登攀中にランチを放置していた
  • ゴミを持ち帰らずに残していった

これらが重なり、クマが人間の食べ物を「おいしいもの」として覚えてしまったんです。

キャンプ場内にはロックのできるゴミ箱や動物には開けることのできないロッカーも整備されています。食料やニオイのするものは車に入れておくのも良いでしょう。みんなでルールを守りクマとと共存できる森作りに協力しましょう。


これは、防げることです

こういった事態は、僕たち人間の行動次第で確実に防げることです。

もちろん、ローカルにもマナーが悪い人がいないとは言いません。

でも、ここに住んでいる多くのクライマーたちは、山と共に暮らし、エチケットを守って登っている人たちが多いです。

正直に言うと、旅行者によるマナー違反が目立つのも事実です。

だからこそ、僕は日本から来るクライマーには特に「土地をきれいにする」ことを意識してほしいと強く願っています。

日本人としての誇りをもって、自然に対して丁寧であってほしい。それは、ここに住むローカルとしての僕の本音です。


人と動物が共存する森を、未来に残すために

自分たちの行動ひとつで、森がクローズされてしまう。

それは自分たちの登攀計画にも影響しますし、ローカルや公園管理側にとっても大きな負担になります。

だからこそ、自分の食べ物、ゴミ、行動に最後まで責任を持つこと。

それだけで、スコーミッシュはずっと登れる場所であり続けます。

どうか、みんなでこの美しい場所を守っていきましょう。