カナダにおけるアウトドアの首都

毎年夏に開かれるアークテリクス主催のクライミングイベント。 地元のプロクライマー、ウィルによる講習会。
上にあるカバー写真はランジ(ホールドへの飛びつき)大会後の抽選会の様子(写真:Tempei)

さてそんな僕にとっては「憧れのクライミングの町」という印象だったスコーミッシュだけど、この町は「カナダにおけるアウトドアの首都」と形容する人がいるぐらい、他にもたくさんのアウトドアが楽しめる。
まぁ少しマーケティングのニオイがするけど、それは置いておこう。


代表的なものをあげてみると、クライミング、マウンテンバイク、ハイキング、トレイルランニング、バックカントリースキー、カイトサーフィン、シーカヤック、ラフティング、フィッシング、などだ。
(外洋に面してはないのでサーフィンはむずかしい)

そしてリラックスしたアウトドアが好きな人には、有料無料問わず、キャンプや焚き火を楽しめる場所もたくさんある。とある森の中には、誰かが作った秘密のサウナさえいくつかあったりする。

他にも僕が知らないだけで様々な秘密の場所があるにちがいない。

かなり偏っているの思われるが、そんなスコーミッシュの自然やアウトドア事情についてもう少し詳しく見てみよう。


画像6
スコーミッシュへようこそ。チーフ(左)とハウサウンド(右)が出迎えてくれる。
ちなみに写真では奥側にバンクーバーがある。

バンクーバーから”Sea to Sky Highway”の景色を堪能しながら町に入ると、チーフと呼ばれる高さ500mほどの大きな岩壁が、このエリアの自然を象徴するように出迎えてくれる。

この岩壁はほぼ町のいたるところから眺めることができ、初めて見た時、僕はその雄大さに思わず言葉を失った。そして今でもチーフを見るたびに感動を覚える。もし仮にこの岩壁が日本にあったとしたら、日本で有数の国立公園になっているかもしれない、なんてたまに妄想したりして楽しんでいる。


このチーフのふもとは州立公園になっていて、岩壁のてっぺんへと続くトレイルの入り口や芝生のピクニックエリア、キャンプ場、ボルダリングエリアなどがある。

このピクニックエリアは、スコーミッシュの中でも僕のお気に入りの場所の一つで、そこから岩壁を見上げながらストレッチをするのがたまらなく良い。
何かとても大きなものに抱かれている感じがして、安心感と謙虚な気持ちが自然に湧いてくるのだ。


チーフの向かい側にはハウサウンドと呼ばれる湾があり、そのハウサウンドにスコーミッシュリバーという名の大きな川が流れ込む。そのスコーミッシュリバーに流れ込むいくつかの滝と湖があり、さらにそれを囲む、苔むした森と山がある。山には標高を上げると岩と雪の世界、高山地形(アルパイン)もある。



このような多様な自然の中で、それらを結ぶ無数のトレイルではマウンテンバイクやランニングを、
夏には強く風が吹くのを利用してウインドサーフィンを、秋には遡上して来るサーモンを狙ってフィッシングを、冬にはノートラックの斜面を狙ってバックカントリーを楽しむ人々の姿がある。
それがなんともスコーミッシュらしい。

※マウンテンバイク(MTB)のコミュニティはどんどん大きくなっていて、今ではクライマー以上に多いとされる。元々バンクーバーからウィスラーにかけてのこのエリアはマウンテンバイクが盛んなことでも有名らしいのだが、現状、僕はMTBカルチャーには詳しくないので今回はあまりふれない。もう少し詳しくなったら紹介したい。なんだかアウトドアギアが増えそうだ…。


さらにこの辺りには、ハクトウワシにブラックベア、サーモンやグリズリー、さらにはクーガーなど野生動物が住み、夏には海にイルカやシャチなどの大型の海獣の姿も見ることができる。(ちなみにこの辺りではクーガーが最も恐ろしく、見かけたくない動物ということになっている)


このようなワイルドな要素が一つ一つ集まり、自然が内包する長い歴史を感じさせてくれるブリティッシュコロンビア。なんと自然豊かな…というよりなんと「強い野生」が残っているのだといつも感心する。



ここからが大切なのだが、この美しいブリティッシュコロンビアのスコーミッシュで僕は何を学んでいるのだろうか。そんなに素晴らしい場所なら何かしら得ているものがあるはずだ。最後にその事を考えるため、僕がこの町に住みだしてから気づいた特別な部分について見てみたい。

画像7
2021年の1月中旬。シーズンにもよるが、ご覧の通り町に雪はない。カナダといえばあらゆる場所が雪に覆われているイメージを持つ人もいるだろうが、この西海岸沿いは太平洋の影響で、穏やかな気温が雨とともにやってくる。(体感的には東京と同じぐらい)雪も降るが積もったとしても、雨に変わり溶けることも多い。しかしここから少しでも北に行くか、標高を上げると完全に雪の世界になる。この写真では山側が北側、手前が南側で海に面する。