【記事の対象】
☞カナダの生活に興味がある
☞スコーミッシュってどんなところ?
☞暮らしを通して自分がきづいたこととは?

スコーミッシュは僕にとって大切なことを教えてくれる場所

僕はカナダのブリティシュコロンビア州・スコーミッシュ(Squamish)
という町に住んでいる。クライミングを愛する人なら(たぶんなんだけど)一度はこの町の名前を聞いたことがあることと思う。

そんな僕が住む町を今回は紹介していきたい。少し長いのでゆっくりと読んでください。


カナダ西海岸最大の都市「バンクーバー」から北に車をはしらせること50分。
ウィンタースポーツで有名なリゾートタウン、ウィスラーとのほぼ中間にこの街は存在する。あえてバンクーバーとの距離感を日本で例えるなら、湘南ー東京間とか奈良ー大阪間ぐらい…もしくはそれより近いぐらいかもしれない。なのでバンクーバーで仕事をしている人も珍しくはなく、それでいてウィスラーにも遊びにも行きやすいという立地だ。

ちなみにこのバンクーバーとウィスラーを結ぶ道路は’’Sea to Sky Highway’’と呼ばれ、「カナダで最も美しい景観を誇るハイウェイの一つ」として知られている。
あえて詳細は省くが、いつかカナダ西海岸および北米西海岸に来られた時には、ここまで足を伸ばしてみてもいいかもしれない。ここからの夕暮れはそれぐらいの価値があり「カナダで最も美しい」と言われるのも納得できることだろう。

その景観を楽しんだ後にたどり着くスコーミッシュはまさに「ほどよい田舎」といった町だ。いくつかの大型スーパーに、ブルワリーは3軒、カフェは10軒以上あると思う。さらにコワーキングスペースやいい感じのクライミングジムもある。

Sushi屋さんははすでにいくつかあり、待望の新しいRamen屋さんもオープンした。仕事やディナーデートも含めある程度の多様性のある生活がここで完結する、そんな町のサイズだ。

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夏の夕暮れの”Sea to sky highway” 日没は遅いので(21−22時とか)ディナーの後でもこの景色を見ることができる。これぞカナダ西海岸の夏といったところ。


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クライミングの哲学を学ぶ


ところで少し話しは逸れるが、僕がまだ東京にいてクライミングを始めて間もない頃「First Ascent」というクライミングのDVD(なつかしい響き)をやたらと観ていた時があった。

この映像はクライミングをしている人の中ではわりと有名だと思うが、「初登にまつわる栄光」をテーマに、いくつかのショートストーリーが収められているクライミングのDVDだ。

その中でも僕が最も影響を受け、何度も繰り返し観ていた作品こそ、この地を舞台していたのだ。(つまり僕は夢の場所に住んでいるのかもしれない。)その映像は当時次世代へのプロジェクトとされ、ここスコーミッシュに多くのトップクライマーを惹きつけていたクライミングルート「*Cobra Crack」の初登をめぐる話だ。

「初登=初めてそのルートを登ること」
初登を成し遂げると、そのルート自体に名前をつけることができたり、「初めて登った人」として自分の名前がガイドブックに掲載されたりもするのがクライミングの文化だ。そういうこともあり初登には栄光や名声が付きまとうかのように言われることもあるし、実際にそれは尊敬に値することだと思う。


そんな中でこのフィルムでは「有名になりたい、栄光を得たい」
というエゴ的執着心と、「単純に美しく感じる、楽しいから登る」という
純粋に楽しむ心持ちの比較が見事にフィルムに収まっていて、僕の心を捉えて離さなかった。今も登る時に考えること、物事に打ち込む姿勢など、基本的なことはこのフィルムから学んだと思う。

英語のみだがクライミングに興味がない人にもおススメしたい。
(※正式なタイトルはFIRST ASCENT:Didier vs. The Cobra


そういうこともあり僕がこの町を初めて訪れた時は、
「あのDVDを通して、夢にまで見ていた憧れの町」という感覚が強く、映像によくでてきたトレイルの木製階段や、主人公が寝泊まりしていた教会脇の芝生などをみつけたりしては、人知れず興奮していたのだった。

*《 Cobra Crack / コブラ クラック 》
今も世界にあるクライミングのルートの中でも超有名かつ、トップレベルに難しいクライミングルートのひとつ。スコーミッシュに多い、「クラック」と呼ばれる岩に走る亀裂にそって登っていくタイプのクライミングで、そのジャンルの最高峰。

これがコブラクラック。2007年の初登経てさらに多くの人を魅了している。
(写真:Tempei)